価値創造ストーリー 地域戦略

地域に密着した事業基盤があるからこその価値創造
お客さまとエア・ウォーターグループをつなぎ、事業を興す

地域戦略の成り立ちと意義

地域戦略は、国内産業や地域社会を支えてきた当社の中核的な事業戦略です。当社は前身の時代から、他メーカーと異なり、製造したガスを顧客に直接販売する「直売志向」を強く持ち、現在に続く製販一貫体制の礎を築きました。

産業ガス事業は、普遍的な原料である空気をもとにした装置産業であり、品質面での差別化が難しいうえに、製品輸送には大きなコストがかかります。このため、消費地に近接して製造拠点を設け、商圏を構築するビジネスモデルが成立します。従来、製鉄所や化学工場が立ち並ぶ太平洋沿岸に設置された大型プラントで安価に大量生産し、そのガスの一部を全国へタンクローリーで輸送する方法が一般的でした。

しかし、当社は、 内陸に立地する半導体産業の勃興や重厚長大産業の縮小といった国内産業構造の変化を踏まえ、2000年以降、高効率の小型プラント「VSU」を製造拠点の空白地であった国内22カ所に配備。国内全域をカバーする地産地消のガス供給モデルを確立しました。新たに拠点化した地域では、それぞれ地元企業や自治体との連携を深めており、新たな成長ドライバーを探索する場となっています。

1929

原点は地域に密着した小口販売

大規模なガス生産設備を持たない前身2社は、シリンダーガス販売などの川下領域の小口販売からスタート

1954

液化酸素・LPガスの販売開始

大阪では代理店に任せず直売志向で液化酸素を販売、北海道では家庭向けLPガス事業を開始しサービス拠点を拡充

1976

「地域戦略」の体制強化

現在の地域事業会社のもととなる川下流通の専業会社を設立、製造から供給までの自社一貫体制を強化

1993

合併による販売網の強化

北海道・西日本を中心とした事業エリアから、日本全国に販売拠点網を拡充

1995

連合・連体経営を推進

地域ごとに販売会社(地域事業会社)を設立。川下分野の強化を図る連合経営と、他社との連携を重視した連体経営を同時に推進

2004

VSUによる地産地消のガス供給

地域の有力な産業ガスサプライヤーと協業しながら新拠点を展開、面的な広がりでシェア維持・拡大へ

2010

支社機能を8つの地域事業会社へ継承

販売に特化した地域事業会社を全国8ブロック8社に再編し、地域事業を企業成長の柱とするため、エア・ウォーターの支社機能を各地域事業会社に統合

2020

新生地域事業会社3社の発足

地域とともに自律的に成長する企業規模にするため、地域事業会社8社を北海道・東日本・西日本の3社に統合

地域事業会社

地域での存在感を高め、国内の事業成長を牽引する役割を担う

A. 社会課題解決型ビジネス

技術イノベーションなどによる社会や地域の課題解決を事業化

B. 業界横断型ビジネス

多彩な事業領域を活かしたソリューション型ビジネスの展開

C. 規模拡大や収益基盤の強化

既存事業の深耕や顧客密着のマーケティング力で収益構造を強靭化

地域事業会社の社会関係資本

A. 北海道(鈴木知事)との記者会見

北海道に育てられ、北海道を舞台に新たな成長を志向する企業として、全道の市町村を対象にした「ふるさと応援H(英知)プログラム」を創設。2030年までに総額10億円の寄付を実施し、地域の課題解決につながる取り組みを支援します。また、事業活動を通じた取り組みとして、オープンイノベーション推進施設も建設予定です。

B. 熊本県(蒲島知事)と企業立地協定を締結

半導体デバイスメーカーの大規模工場の建設が進む熊本県に、エレクトロニクス分野の複合事業拠点を建設予定。産業ガス事業を軸としながらも、熊本県は国内有数の野菜産地であることから、首都圏や関西圏への輸送効率化を目的に、農産物の低温物流拠点を新設。地域特性を踏まえた新ビジネスの創出を図っています。